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「推し活」が広告を変える CVR7%越えの理由に見る“推し活×PR”成功の法則

近年、消費者行動の一つとして注目を集めているのが「推し活」です。
この文化はアイドルやタレントにとどまらず、YouTuberなどのインフルエンサーにも広がりを見せています。
近年のインフルエンサーマーケティングにおいては、「推し活」を活用したアプローチが非常に重要視されています。
今回は所属YouTuberの「李家everyday」を例に紐解いていきます。

推し活が「経済」と「社会」を変える時代へ

推し活とは?
自分のイチオシを決めて、応援する活動全般を指します。
元々は、熱狂的なアイドルファンが自分の好きなアイドルを「推し」と呼んだことが、「推し活」の始まりです。

そしてそんな「推し活」を通じての経済効果は、2022年度時点で約8,000億円を超える規模にのぼっていることが明らかになりました。
マーケティング事業のリデル株式会社が2024年の秋にオンラインで159人に実施した
「推し活でどのくらいお金を使うか」というアンケート調査*では、月平均1万~3万円を使う人が28.9%となり、10万円以上は2.5%もいました。
なかには、推し活に使った過去最大額は50万円以上という回答が2%もあったことが調査結果でわかっています。
*出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000457.000011944.html

そのくらい「推し活」は、現代において日本の経済を動かす非常に大切な文化であり、日本の経済効果をもたらす一助になっています。

共感経済とは何か?
現代のSNS社会において、「共感」が消費行動や価値観に大きな影響を与えるようになってきました。
従来は、マスメディアで取り上げられた情報や有名ブランド・大企業による広告に価値を見出し、商品を購入するというスタイルが主流でした。
しかし近年では、SNS上で発信された「商品」や、いわゆる「推し」が紹介しているアイテムに共感を覚え、
その感情が購買行動へとつながる傾向が強まっています。

これまでは広告主から不特定多数の消費者へ一方的にアプローチしていたのに対し、
現在は「推し」が視聴者(ファン)に向けて情報を発信する形へと変化しています。
これにより、商品とよりマッチしたターゲットに対して、的確かつ効果的にアプローチすることが可能になりました。

さらに、「推し」とファンとの間に信頼関係が構築されている状態から発信されるPRは、
広告主が見えない状況で訴求するよりもはるかに説得力があり、購買意欲の促進につながります。
感情的な共感や人間関係的なつながりが、経済的な価値を生み出すことがまさに「共感経済」の本質ではないでしょうか。

当社所属YouTuber「李家everyday」を例に「推し活」が経済にどのように経済活動に影響を与えているのか、事例をもとにご紹介いたします。

なぜ「李家everyday」が推されているのか?
「李家everyday」は、韓国在住の家族YouTuberで、韓国トレンドの紹介や家族総出で出演する動画が人気のチャンネルです。
家族全員による絶妙な掛け合いや、ほのぼのとした日常が視聴者を惹きつけています。

その人気の要因のひとつは、何といっても家族の仲の良さです。
恋愛トークや日常の何気ない会話など、友人のような距離感で交わされるやりとりは「李家everyday」ならではの魅力といえます。
子どもたちが成長した後も変わらない親子の関係性は、多くの視聴者にとって理想の家族像と言えるのではないでしょうか。

また、「李家everyday」の発信は「自然体」で「飾らない」雰囲気に満ちており、これも大きな人気の理由です。
何気ない日常の会話や、ちょっとした喧嘩までも、リアルな家庭の姿をそのまま映しており、台本感がない自然なコンテンツが共感を呼んでいます。

さらに、オンマ(母)の病気についても動画内で率直に発信し、同じような境遇にある視聴者との間に強い絆が生まれています。
「自分も負けない」というコメントが多数寄せられるなど、
視聴者と人生を共に歩んでいるような親密な関係性が、「推される」要素のひとつとなっているのでしょう。

“関係性”の構築が価値になる
──YouTuberが新しい経済価値を生む時代へ
従来のYouTubeでは、再生回数や登録者数の多さが広告収入や企業案件の評価指標でしたが、
これらの数値は、視聴者との「接点の深さ」を測る指標としては不十分でした。
実際の購買行動に直結するかは、数字では測れなかったからです。

現代において重要視されているのは、視聴者との関係性の濃さです。
「李家everyday」においても、再生数や登録者数以上に、「いいね」や「コメント」といったエンゲージメントがその関係値を物語っています。

特にライブ配信によってリアルタイムで視聴者と交流したり、イベントを通じて直接触れ合う機会があることで、
視聴者は自分が大切にされていると感じ、心理的ロイヤリティが高まります。
コメント欄には「サラちゃん、リーくん、オンマがいるから私も頑張れる」「毎日の楽しみです」といった声が多数寄せられており、
「李家everyday」は視聴者にとって、単なるYouTuberではなく“心の居場所”となっているのです。

このような関係性があるからこそ、視聴者の購入動機は「商品そのもの」ではなく、「人(推し)」へと移行しています。
つまり、「李家everyday」が紹介しているから購入するという現象が生まれており、彼らはすでにブランド力そのものを体現しているともいえます。

「李家everyday」と視聴者(ファン)との間に存在する見えない関係性は、「推し活」において最も重要な価値です。
その関係性が、PRや広告に直結し、従来の手法では届かなかった文脈での訴求を可能にしています。
今回は、こうした“推しとの関係性”を最大限に活かし、座組から設計されたことで成功を収めたタイアップ事例をご紹介いたします。

<タイアップの事例反映>
今回は、美容ブランド「CELL IN SHOT(セルインショット)」の商品をPRしたタイアップ動画の事例をご紹介いたします。
動画の内容は、娘「サラ」と息子「リーくん」の何気ない日常の雑談の中で、「サラ」の最近の恋愛事情をテーマに展開されており、
「恋をすると美意識が上がる」という自然な流れで商品紹介が組み込まれています。

PRの入り口も視聴者に忌避感を抱かせずにスムーズに紹介しており、視聴維持率も保てる動画の構成でした。
PRパートも動画の雰囲気を壊すことなくスムーズに挿入されており、視聴者に忌避感を与えない構成に仕上がっています。
その結果、視聴維持率を高く保つことができました。

今回のタイアップでは、広告費用対効果(ROAS)が163%という非常に高い成果を記録しました。
一般的に、YouTubeはエンタメや情報収集を目的とした視聴者が多いため、
購買意欲が低く、広告費用対効果が100%を下回ることも珍しくありません。
そうした中でこの数値を実現できたのは、動画の訴求力の高さと、視聴者が実際に購入行動へと移っていることだと考えられます。

また、動画公開からわずか10日間という短い割引期間中に、
サイトへの流入者数は9,000人を超え、1日あたり平均900人がアクセスした結果となりました。
さらに、注文転換率(CVR)は7.43%と、YouTubeの平均である1〜3%前後を大きく上回る結果となりました。
これは「CELL IN SHOT(セルインショット)」ブランドのLPの訴求力や、導線設計の巧みさに加え、視聴者との親和性の高さが影響していると考えられます。

加えて、動画内で実施されたコメント投稿によるプレゼントキャンペーンもエンゲージメント向上に寄与し、動画そのものの反応率を高めました。

中でも特筆すべきは、「李家everyday」(推し)と視聴者(ファン)の間に築かれた深い信頼関係です。
この信頼があったからこそ、今回の動画も多くの視聴者に受け入れられ、高い視聴数へとつながりました。
さらに、視聴者層と商材の相性が非常に良かったことも後押しとなり、
「李家everydayが紹介している商品だからこそ購入してみよう」という前向きな行動変容が生まれたと分析できます。

キャスティングと商材、動画構成の三位一体がうまく機能した、非常に優れたタイアップ事例となりました。

推しは、経済を超えて“社会”を変える存在へ

いま、消費者行動のカタチが大きく変わろうとしています。
現代の消費者行動において重要なキーワードは、「共感」×「推し」。
この掛け合わせが、商品の購買やサービスの選択に大きな変化を与えています。

「推し」という存在は、エンタメを超え、社会や経済に影響を与える新しい起点になっており、
その背景には、数値では測れない「信頼」や「関係性」によって動く“共感経済”の構造があります。
現代において求められているのは、影響力の“量”ではなく“質”ではないでしょうか。

なかでもYouTuberは、推しの中でも特別な存在です。
動画という日常に近いコンテンツで、自らの言葉で考えや価値観を発信できるからこそ、
視聴者との距離が近く、“共感”と“信頼”が濃く結びつく関係性が築かれています。
再生回数や登録者数だけでは測れない、“人間性”に基づいた影響力こそが、これからの広告やPRに求められる新しい指標ではないでしょうか。

「誰が紹介してくれたか」で消費が動く時代です。
だからこそ、推しとファンの関係性から生まれる感情的な共鳴が、やがて経済的な価値へと繋がっていきます。
当社では、そうした「推し活」×「共感経済」をベースにした、新しい広告・PRの在り方をご提案するのでぜひお気軽にお問い合わせください。

クリエイター詳細

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